約3年間コンサルティングファームへ在籍したのち、株式会社タイムデザイン創業。タイムデザインでは、ダイナミックパッケージのプラットフォームをホテルなどの宿泊施設に提供するビジネスを立ち上げ、国内外で展開。また、手配旅行のクレジットカード決済サービス「ホテペイ」の立ち上げにも注力。並行して、モバイル決済プラットフォームを提供する企業や、レンタルオフィス・シェアオフィスの検索サービスを提供する企業など、旅行以外のベンチャーの共同創業・経営にも携わる。2014年にカカクコムグループへ参画、2022年4月より当社執行役員を務め、2024年7月上級執行役員に就任。
2024年4月に新設されたインキュベーション事業本部。その新たな組織の舵を取るのは、株式会社タイムデザインの創業者であり、2022年より当社にて執行役員を務める松 祐三さん。当社が新規事業の創出やM&Aに力を入れていく意味や、その醍醐味を聞きました。
新しい経営体制下でのインキュベーション事業本部の新設には、どのような狙いやミッションがあるのでしょうか。
松さんインキュベーション事業本部は、既存の複数の事業を本部に結集させつつ、M&Aや新規事業の創出に専念するインキュベーション推進室という部署を抱えています。
カカクコムグループのさらなる大きな成長のために、既存事業の方向性を整理し拡大していくことに加えて、既存事業内外において新規事業を立ち上げることや、M&Aなどを通じて外の企業との事業創出に挑戦していくことをミッションとしています。

インキュベーション事業本部の新設からは、会社全体で新しい価値を創出し続け、次なる成長ドライバーの模索に改めて注力していくという方針への強いコミットメントが伝わってきます。そのような方針を実現する戦略の一つにM&Aがあると言います。
松さん事業創出にとってM&Aは一つの手法に過ぎません。「積極的にM&Aをしていく」という方針を打ち出しながら、外部のさまざまな企業とご一緒した際に、どのような世の中の課題を解決できるか、ニーズを満たせるかを探っています。今取り組んでいる業種・業界であるかどうかを問わず、またサービス提供の深さも現在の当社の範囲に限定せず、新しい価値を見出せる分野に大胆に挑戦していきたいと思っています。
M&Aや新規事業の創出を手掛けていくにあたり、カカクコムが持つアドバンテージについて、松さんはどのように捉えているのでしょうか。
松さん当社はこれまでさまざまな業種業界でゼロからサービスをつくり、大きく成長させてきたという実績があります。同じ時代を生きたIT大手企業が皆そうというわけではなく、ゼロから生み出した事業をこれほどまで大きくできることはすごいことだと思います。その背景には、ユーザー視点でのサービスづくりや、圧倒的なSEOの知見、大きなサービスを安定的に運営する体力があると思います。
このような当社の知見やアセットを活用することで、新しい市場においても課題解決をはじめとする価値を提供し、またその価値を拡充することができるものと考えています。これが一般的なスタートアップに対する当社の競争優位性だと思います。
何かアイデアを持っていて起業を検討している方や、新しい価値を創出したいと考えている人にとってみると、当社が持つインターネットサービスやモノづくりの経験、技術を生かすことで、世の中のより大きな課題の解決にチャレンジできる可能性があると言えます。
松さんまた、新しい価値を生み出していく方法はさまざまです。外の企業と協業するだけでなく、既存事業のビジネスモデルやノウハウを組み合わせた新規事業を社内で一から生み出していくことも手段のひとつです。

一方、インキュベーション事業本部は複数の既存事業の集合体でもあります。それぞれの事業戦略を描くことも松さんの役割のひとつですが、いかにしなやかで強い組織をつくっていくかも重要であることがうかがえました。
松さん最初は各事業の理解を深めるために、世の中のどのようなニーズに向き合っているのか、何の課題を解決しようとしているのかなどを、グループ会社の社長や事業責任者の皆さんに伺ってきました。その上で、短期や中長期での成長戦略としてどのような考えを持っているのかなどの会話をしています。
本質的な価値を考え、新たな価値を生み出していくためには、その時々で必要となる取り組みの優先順位を臨機応変に変えて、対応していくことも大切だと思うんです。
これまでは、同じ業界に向けたサービスであっても組織が別々になっていましたが、ひとつの本部や部門・チームにしていくことで優先順位を横断的に考え、役割の柔軟な変更や、事業の垣根を越えた業務分担も行えるようになりました。変化に柔軟な体制とすることで、経験を持つメンバーが新たな価値の創出にスピード感をもって取り組んでいけるようにしたいですね。
20代で株式会社タイムデザインという会社を創業し、他にも複数の事業の立ち上げに携わってこられた松さん。生粋の起業家タイプのように見えますが、なぜカカクコムに身を置き、カカクコムの成長に貢献しようとしているのでしょうか。お話を聞くと、「キャリアや仕事の選択肢がいくつかあるとしたら、難易度の高い方やそのときにしか選べない方を選ぶようにしてきた」と言います。
松さん再び新しく自分で事業をつくり、必要であれば資本やリソースを調達してくることも、もちろん楽しいことだと思ってるんです。
でも、自分にとってはさまざまな縁の中で出会ったカカクコムのみんなと共にこの大きな組織の成長に関わっていくのは、これまでに経験したことのないことで、今しかできない難易度の高い選択肢だと感じてます。
元来、課題解決と創造が楽しいと思う性分なので、そういう自分にとっては最良な環境なのではないかなと思います。
インキュベーション事業本部が始動して約半年。新規事業や新しいビジネスモデルを創出し、それを軌道に乗せ、成長させていくことは一朝一夕で成しえることではありません。しかし、松さんの日々の働きぶりや考えからは、そうした困難な課題に果敢に挑んでいる様子がうかがえます。
松さんできる限り早く、カカクコムの次の成長をつくる新たな事業を創出していきたいと常に思っています。そのためにも、今後も新規事業の創出やM&Aの検討に携わるチームを拡大していきたいと思っています。新しい価値を創出することに対し貪欲に挑戦したい方にも加わってもらいながら、社内外のさまざまな力を借りて、カカクコムが挑むべき課題に向き合っていきたいです。

※記載内容は取材当時のものです。
